スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
「ハイハーイ、センセー! オレとヒーローセンパイは(なに)すればいいの?」

 ミヤが()()げる。

「ミヤは観察眼(かんさつがん)がある(うえ)コミュ(りよく)(たか)いからな。花菱(はなびし)予定(よてい)()わせて(とお)くから(なが)めていてほしい。(へん)なことしてる(やつ)()たら(よう)チェックだ。(はな)しかけて情報(じようほう)(さぐ)ってくれ。」

(はな)しかけるって、きみが犯人(はんにん)? とか()うわけにはいかないでしょ?」

適当(てきとう)世間話(せけんばなし)でもいい。花菱(はなびし)って綺麗(きれい)だよね、とかできる(かぎ)共感(きようかん)()られそうな話題(わだい)(えら)ぶんだ。得意(とくい)だろ?」

「まぁ。」とミヤが(うなず)く。

 すごいなぁ、やっぱり自信(じしん)()って(うなず)けるんだ。

 (わたし)には絶対(ぜつたい)できないもの。

緋色(ひいろ)もだいたいミヤと(おな)じだが、お(まえ)がこの(なか)で1(ばん)(かお)(ひろ)いからな。(まわ)りに最近(さいきん)、いきなり(かえ)りが(おそ)くなったやつが()ないか()いてほしい。それ以前(いぜん)から盗撮(とうさつ)してたらなら関係(かんけい)ないが、その花菱(はなびし)(いえ)写真(しやしん)(とど)(はじ)めた時期(じき)から(はじ)めた可能性(かのうせい)もあるから、一応(いちおう)な。」

 ほう・・・(たし)かに。

 この先生(せんせい)、やっぱり普段(ふだん)あんな態度(たいど)だけど、(おも)ってた以上(いじよう)(かんが)えてるし、(まわ)りを()てるんだな。

 ちょっと感心(かんしん)した。

 先生(せんせい)になれてる(くらい)なんだから、よく(かんが)えてみれば()かることなんだけど、先生(せんせい)ってなんか、同年代(どうねんだい)っぽさというか()どもっぽさ? があるから。

花菱(はなびし)は、いつも(どお)りに生活(せいかつ)してくれ。(へん)にストーカーを意識(いしき)するな。(おも)(つぼ)だからな。」

「はい。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)真剣(しんけん)(かお)()ていると、(わたし)頑張(がんば)らなきゃって(おも)う。

 よし、犯人(はんにん)()つけるぞ!

「じゃあさ、ライングループ(つく)ろーよ!」

 そんな(とき)、ミヤが(こえ)をあげた。

「おーそうだな!」

 ミヤがスマホを()()すと、(わたし)以外(いがい)全員(ぜんいん)()()す。

 ええ、先生(せんせい)(まえ)だよ!?

 でも、先生(せんせい)自身(じしん)()()しているから(なに)()えなさそうだ。

 この先生(せんせい)だと・・・大丈夫(だいじようぶ)そうだけど、一応(いちおう)

「あの、先生(せんせい)(まえ)でスマホ()()していいんですか?」

 その(わたし)()いに、先生(せんせい)はふっと(わら)った。

真面目(まじめ)だな。(いま)放課後(ほうかご)だから大丈夫(だいじようぶ)だ。放課後(ほうかご)はこの学校(がつこう)ではスマホ使用(しよう)OKが暗黙(あんもく)了解(りようかい)だよ。」

 へえ、そうなんだ。

 (わたし)もおずおずと()()す。

 そうして、(みんな)とラインを交換(こうかん)しあった。

 友達(ともだち)(すく)なかった画面(がめん)が、どんどんと(はな)やかになっていく。

 ミヤとも交換(こうかん)できたのがなんだか(うれ)しい。

 これがキッカケに仲良(なかよ)くなれるといいなぁ、なんて、何話(なにはな)せばいいかも()かんないんだけどね。
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