スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
「じゃあ(ほか)(なに)作戦(さくせん)があるヤツはいるか?」

 作戦(さくせん)・・・あ。

 (わたし)(なか)に、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)靴箱(くつばこ)(まえ)()っていたイメージが()かぶ。

靴箱(くつばこ)見張(みは)るってのはどうですか?」

 靴箱(くつばこ)写真(しやしん)()れるってことは、そこに()かなきゃ無理(むり)だよね。

「おー、(たし)かにそうだよな。・・・ただ、ずっと見張(みは)るのは(きび)しいかもしれない。犯人(はんにん)にバレれば、そもそも()ない可能性(かのうせい)もある。終礼(しゆうれい)時間(じかん)(ちが)うし、ずっと俺達(おれたち)見張(みは)(わけ)にもいかないから、(むずか)しい(ところ)だ。」

監視(かんし)カメラは?」

 ミヤさんが提案(ていあん)する。

大事(おおごと)にせずにって(はなし)だろ? 学校(がつこう)(がわ)許可(きよか)すると(おも)うか? 下手(へた)すればコッチが(つか)まる。」

「そっかぁ・・・。」

 うーん、(むずか)しい。

 その(あと)教室(きようしつ)はシーンと(しず)まり(かえ)る。

(なに)もない、か。じゃあもう時間(じかん)だし解散(かいさん)するか! あとはラインでいろいろ指示(しじ)するから()てくれ。お(つか)(さま)。」

 先生(せんせい)がそう()えば、(みんな)荷物(にもつ)をまとめて(かえ)準備(じゆんび)(はじ)める。
 
 時計(とけい)()れば、短針(たんしん)は5を()していた。

 もう5()かぁ、(おそ)くなっちゃった。

 (わたし)荷物(にもつ)()って、教室(きようしつ)()ようとする。

()って、一緒(いつしよ)(かえ)ろ。」

 (うし)ろから()()められて、()(かえ)ればそこに花菱(はなびし)先輩(せんぱい)()た。

 ええ、先輩(せんぱい)一緒(いっしょ)ですか・・・!

 (いや)ではないのだけれど嫉妬(しつと)(こわ)い。

「おー、それいいな。一緒(いっしょ)(かえ)れるなら(かえ)ってくれ。」

 先生(せんせい)はそう()たり(まえ)のように()うけれど、そんな簡単(かんたん)(はなし)じゃないのに。

「あ、じゃあオレも途中(とちゅう)まで!」

 ミヤさんも荷物(にもつ)()って(ちか)づいてくる。

 うーん、ミヤさんも一緒(いつしよ)なら、まぁ。

()かりました。」

 (うなず)くと、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)はふわりと微笑(ほほえ)んだ。

「ありがと。」

 本当(ほんとう)に、綺麗(きれい)だよなぁ。

 (おも)わずジッと見惚(みほ)れてしまう。

 笑顔(えがお)(とく)に、(はな)()いたみたい。

 ミヤさんはそんな(わたし)(たち)をじっと()ていた。

 あ、そっか、ミヤさん、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)のこと()きだから・・・。

 (あわ)てて()()らして、(した)()く。

 (わたし)花菱(はなびし)先輩(せんぱい)()きだとか、勘違(かんちが)い、されてないよね。

 ちらっとミヤさんを見ると、彼女(かのじょ)はニコッと笑顔(えがお)()けてくる。

「じゃあ、(はや)(かえ)ろ!」

 (いま)のは(おも)わず見惚(みほ)れちゃっただけ、それだけだから。

 「うん。」と(うなず)く。

 ミヤさんとは仲良(なかよ)くなりたいから、応援(おうえん)できるポジションに()たいの。

 ふと、ミヤさんがこうやって()いてきてくれるのは、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)(ちか)くにいるからじゃないか、なんて(おも)って、(さび)しくなった。
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