スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
「あの・・・つけてもらったらどうですか? ストーカー対策(たいさく)として。」

「ええ、それはちょっと・・・。」
 
 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)(かお)(くも)らせる。

 本当(ほんとう)(いや)みたい。

大事(おおごと)にしたくないって言ったろ? それ、(おや)(しら)られたくないからだから・・・。」

 (おや)に? どうしてだろう。

 そこまで(かんが)えて、ミヤさんの言葉(ことば)(おも)()した。

 親御(おやご)さんとの(なか)()くないのかも、ってそう彼女(かのじよ)()っていた。

「あの・・・ご両親(りようしん)との(なか)、そんなに()くないんですか・・・?」

 失礼(しつれい)だとは(おも)ったんだけど、()になって()いてしまった。

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)()()せて自嘲(じちょう)するような()みを()かべた。

「まぁ、そうだね。(なか)()くない。(かあ)さんと(とう)さんは政略(せいりやく)結婚(けつこん)でさ。ちゃんと()きになって結婚(けつこん)したわけじゃないから。それに(いま)別居(べつきよ)してて、オレ(たち)自身(じしん)には興味(きようみ)()ってない。・・・オレは、色々(いろいろ)問題(もんだい)()()まれるから(あき)れられてるけどね。」

 そんな・・・。

 (わたし)(いえ)は、両親(りようしん)がちゃんと(おな)(いえ)()て、(わたし)のことを大切(たいせつ)にしてくれている。
 
 だから、(おや)関心(かんしん)()たれてないってことがどれだけ(つら)いか()からなくて、どんな(かお)をしていいのか()からない。

大丈夫(だいじようぶ)だよ。もう()れた。」

 そんな(わたし)()づいて、花菱(はなびし)先輩(せんぱい)はふっと(かる)(わら)った。

「それに、オレには(にい)さんが()るし、(さび)しくはないよ。」
 
 お(にい)さんが・・・。

 (たし)かに、あのお(にい)さんなら花菱(はなびし)先輩(せんぱい)大切(たいせつ)にしてくれていそうだ。

 (すこ)安心(あんしん)する。

 自分(じぶん)味方(みかた)がいることってすごく大切(たいせつ)だもの。

「それよりも、その写真(しやしん)()(なに)()かることある?」

 (わたし)手元(てもと)写真(しやしん)()()とした。

 うーん・・・。

 うーーん・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・あ。

花菱(はなびし)先輩(せんぱい)。」
 
 (ひと)つだけ()づいたことがあるんだ。

 写真(しやしん)()()づいたってわけじゃないんだけど・・・。

「なに?」

先輩(せんぱい)、これは写真(しゃしん)()()れている(ひと)()った写真(しやしん)って()ったじゃないですか。」

「・・・ん? うん、言ったけど。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)()からない様子(ようす)(くび)(かし)げている。

 そんな(かお)(いき)()んじゃうほどきれいなんだから、本当(ほんとう)(うらや)ましい。

()ますよね。学校(がつこう)写真(しやしん)()るの上手(じようず)人達(ひとたち)・・・。」

 ここまでヒントを()せば()かるだろう。

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)はハッとした表情(ひようじよう)になる。

「・・・もしかして、写真部(しやしんぶ)?」
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