スクールアイドル防衛隊─通行人A子と弱虫王子―
 そう考えてみると、天城先輩が途端に魅力的な人に思えてくるから、言葉の力って凄い。

 癒やし系の特徴っていうのが、穏やかでマイペース、ゆったりのほほんとした性格をしていることなんだって。

 まさに、天城先輩じゃない?

 性格はマイペースで穏やかで、喋り方は関西弁なのかな? ゆるく訛っていて、動きはゆったりとしている。

 服装がだらしないのがもったいないけど、こう考えてみると、この人も人気ありそうだなぁ。

 そんなことを考えているうちに食堂に着いた。

 私は少し入りづらくて、お弁当を前に抱えてこそこそと天城先輩の後ろに隠れる。

 天城先輩は身長が高くて体格もいいから、私の体くらいならスポッと影に隠れちゃう。

 うぅ、先輩、やっぱりなんだか罪悪感ありますよ・・・。

 そんな私を先輩は振り返って、人の良い笑みを浮かべた。

「英子ちゃん、みーくんのとこ行くよ。」

「あの、先輩、やっぱり私・・・。」

「大丈夫、大丈夫。はぐれんといてな。」

 この学園の食堂は小中高共通だから、とっても広い。

 パン、麺類、丼類、スイーツ・・・色んなコーナーがあるから、ショッピングセンターのフードコートみたいなんだ。

 しかもどのメニューも美味しいから、皆よく来るの。
  
 それもさっき言った通り、小中高共通だから学年関係なく人が集まって、お昼はそれはもう大混雑!

 色んなところに人が並んでるんだ。

 メニューを予約できるから、私が食堂を使うときは、食べたいものを予約しておいた上で早めに来て、人の少ないうちに食べるんだけど・・・。

 今回はゆっくり来ちゃったから、そりゃあもう混んでいた。

 うぅ、この人混みの中を行くのかぁ・・・。

 先へと進む天城先輩を追いかける。

「あっ、ハルマ! と、相模も。こっちこっち!」

 人の視線が集まっている方から花菱先輩の声がした。

「おー、みーくん場所取りありがとな。」

「どういたしまして。じゃあご飯頼みに行こう。席にはハンカチでも・・・あー。」

 花菱先輩は困ったように視線を落とす。

 どうしたんだろう、ハンカチ忘れちゃったとか?

「おれが代わりにティッシュ置いとくわ。また盗られたら困るもんな。」

「・・・ん、ありがと。」

 盗られるって・・・その考えは無かった。

 確かに、ストーカーされちゃうぐらいだもんね。

 花菱先輩の物が欲しくなっちゃう人もきっと居るんだろうな。

 そんな心配をしないといけないなんて、やっぱり美人すぎるのも考えものなんだなぁ。
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