憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


師走に入る前に美也子の手術は無事終わり、歩行訓練のリハビリテーションに取り組めるまでになった。
五月には美也子の世話に専念してもらったので、由美はほとんどひとり暮らしのようになっていた。

「うちに来ないか?」

直哉から誘われてはいたが、周囲の目が怖くて由美は頷けないでいた。

「おばあ様が入院している時には無理よ」

立花診療所に顔を見せた直哉に、もう何度目になるかわからない言葉を返す。

「周りの目が気になるのか?」
「あなたは目立つもの。義姉との結婚話があったって病院の人は知ってるし……」

裕美と由美の義姉妹で二股をかけたなんて陰口を叩かれてはたまらない。

「もう少し、時間をかけましょう」
「わかった。ただし、美也子さんが退院したら待てない」
「え?」

直哉はそっと由美の手を取った。

「今度こそ、結婚しよう」

直哉からの二度目のプロポーズだ。
由美は嬉しさのあまり、すぐに返事をした。

「ありがとう!」

由美が余りに嬉しそうに笑ったからか、直哉の方が照れた顔をしてしまった。
だが、すぐに由美の頬にキスをひとつ落としてくれた。

「待ちきれないな」
「もう……」

由美の心は弾んでいた。
春になれば、今度こそ幸せな花嫁になれるはず……そう信じて。




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