憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
「そうだったのね。よかった、由美ちゃん! おめでとう!」
理香の心からの祝福に由美の心は温かくなってくる。
「あの、部屋の中は今……大変かもしれません」
直哉が申し訳なさそうに理香に告げた。
「ふたりは気にしなくていいのよ。後はダンナに任せておいて!」
そういうと、ノックして理香は応接室に平然とした顔で入っていった。
「凄いな、あの人……」
「さすが、お義兄さんが選んだ人でしょ」
「納得だ」
苦笑いしながら、ふたりはエレベーターに乗った。
「誰が僕に連絡くれたと思う?」
エレベーターの中で直哉が悪戯っ子のように由美に尋ねてきた。
「誰かな? 五月さんか、理香さんかな?」
「残念!」
「わからないわ。誰なの?」
「何人かの看護師と、三上師長だよ。三上師長からは君が院長室に呼び出されているから急いで行けって命令されたんだ」
「さすが、師長だわ……」
「あの人には頭が上がらないな」
ふたり顔を見合わせて、また笑った。
さっきまでの緊張感から解放されて、由美は心まで軽くなっている。
「家に、帰ろう」
「はい」
「今日は、僕のマンションだ」
直哉の言葉に、由美の頬はポッと赤らんだ。