憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


由美はなかなか言いだせなかった言葉を口にした。
答えを聞くのは怖かったけれど、直哉に確認しないと前に進めない。

「由美、これからは先のことだけ考えよう」
「先のこと?」

言葉を繰り返しながら直哉を見つめる由美に、直哉は微笑んだ。

「これからの人生、ずっとずっと君と一緒に歩いて行きたい」

コクリと由美も頷いた。

「ええ、私も同じ気持ちです」

直哉の笑みが深くなる。

「そして、お互いにじいさんとばあさんになったら思い出話をするんだ。ああ、あんな日もあったな、あんなこともあったなって……」

そっと由美の体を抱きしめる腕に少し力が込められた。

「いつか……そうなるわ。きっと」
「そんな話をしながら言うんだ。‶お互い様だね”って。たくさん喧嘩したり仲直りしたりして……笑うのも怒るのも、原因はお互い様だ。だって、僕たちは家族になるんだから」

由美の目にうっすらと涙の膜が張っていた。

「泣くなよ」
「だって……」

直哉の指先が由美の目から溢れそうな涙をすくった。

「愛してる……」

ふたりに、もう言葉はいらなかった。
抱きあって、キスをして、お互いの温もりを確かめあう。

「もう、離さない」
「大丈夫、もう二度と離れないわ」

直哉の両手が、唇が、由美の体を何度も行き来して愛おしい存在を確かめているようだ。
由美も次第にその熱情に翻弄されていく。
五年分の空白を埋めていくように、お互いにとって激しくも優しい時間が流れた。






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