憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
当直のあと病院で雑用をこなし、昼を過ぎてから由美は家に帰った。
「ただいま~」
由美は大学時代だけは金沢に住んでいたが、卒業してからはまた立花診療所に戻っていた。
優しかった祖父は二年前に亡くなったので立花家に住んでいるのは由美と祖母、それに祖母の遠縁にあたる家政婦の山科五月の三人だけだ。
「お帰りなさい」
「お疲れさまでした、由美さん」
リビングルームに入ると、車イスに乗った祖母の美也子と五月が笑顔で迎えてくれる。
美也子は未亡人になってから体調を崩すことが多くなり、近ごろは屋敷の中も車イスか杖に頼る生活になっている。
「由美さん、お腹すいていらっしゃいませんか?」
「五月さん、よくわかりますね~」
五月は恰幅のよい体つきだがマメな人で、家事と祖母の世話をしてくれている。この家に引き取られた頃から面倒を見てもらったので、由美も彼女を頼りにしていた。
「当直の日はいつもじゃないですか。お昼ごはんを準備していますよ」
「ありがとうございます!」