憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
直哉とは、いろいろな話をしたものだ。
金沢の魅力、医学のこと、なにを専門に選ぶか……話題は尽きない。
ただ、お互いの家庭のことまでは話さなかった。
短い夏の間だけの恋なら、深い関りは持たない方がいいとふたりとも思っていたのだろう。
勢いのある熱い恋だった。
特定の人と交際した経験がなかった由美は手をつないで歩くのも彼が初めてだったし、ましてやキスも初体験だった。
ぎこちない由美を、直哉は大切にしてくれた。
啄むようなキスから、大人のキスをするようになるのもあっという間だった。
恋愛に不慣れだった由美なのに、彼がビジネスホテルの空調が悪くて眠れないと口にしたときにとんでもないことを言ってしまった。
『なら、うちに来る?』
大胆な誘いを待っていたかのように、すぐ直哉は連泊していたホテルを引き払い由美が住んでいる長谷川の家に転がり込んでいた。
『由美が好きなんだ。君に触れてもいいか?』
初めての夜、彼が由美を熱く見つめながら言った言葉を忘れはしない。
『好きだから、君を抱きたいんだ』
怖いけど嬉しくて、胸がドキドキして……由美は頷いた。
そうなるのがあたり前だったように、ふたりは結ばれた。