憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
介護の勉強をしている高校時代の親友や、理学療法士や整形外科医になった大学時代の友人たちに声をかけたら何人か協力してくれる人も見つかった。
特に親友の渡辺加奈は母親の経営する訪問介護ステーションで働いていたし、大学時代の友人の紹介で理学療法士の木下新とも知り合えた。
五月も栄養士の資格を持っているので戦力は十分揃っている。
祖父が亡くなったときに、立花診療所を医療法人にして森医師を院長に迎えていたのも功を奏した。来年春に研修を終える由美も森医師と診療を分担できたら、患者さんへのケアもぐんとよくなるだろう。
話し合いを始めてすぐに小規模ながらデイサービス事業は具体的になり、この秋からは母屋の改築を始めることになった。
友人たちとは時間があれば立花診療所に集まって話し合い、計画は順調だ。
(気持ちを切り替えなくちゃ)
直哉のことで悩んでいる場合ではない。
(過去は忘れたはず。それがお互いのためだもの)
二度と恋にも直哉にも惑わされるわけにいかないと、由美は気を引き締めた。