憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
「後期研修医だからかな? ホームページには紹介されていないんです」
「あの……克実先生からなにも聞いていらっしゃらないんですか?」
恐る恐るというふうに、ひとりの看護師が確認するように直哉に聞いてくる。
「初めて聞いた名前だな。立花家の親戚の人?」
直哉を囲むようにお喋りしていた看護師たちだったが、答えるのをためらっているようだ。
そのうちのひとりが、やっと口を開いた。
「え~と、克実先生の妹さんです」
「妹⁉」
直哉があまりに驚いた表情を見せたからか、次々に新たな情報を話してくれた。
「今は呼吸器内科にいらっしゃいますよ」
「お義姉さんの裕実先生の代わりに当直もされています」
直哉は克実から妹がふたりいるなど聞いたことがなかった。
「副院長には、もうひとり妹さんがいたんだ」
「妹さんていうか、養女だって聞いていますけど……」
「院長そっくりだから、隠し子じゃないかって噂もあって」
クスクスと苦笑いしながら彼女たちは話しているから、院長一家の公然の秘密なのだろう。
立花家の家族事情までが、直哉の耳に入ってしまった。