憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
「由美先生、ちょっとよろしいですか?」
「え? おばあ様になにかあった?」
めったに診察室に来ない五月を見て、由美はドキリとした。
「いえ、美也子様はお昼をしっかり召し上がってお休み中です」
「よかった。それなら、五月さんが体調でも悪いの?」
由美は美也子に変化がなくて安心したが、頼りにしている五月の具合が悪いのかと心配になったのだ。
「ご心配なく。私も元気です」
由美の気持ちが伝わったのか、五月は安心させるようにニッコリ笑ってから話し始めた。
「診ていただきたいたいのは、ご近所に住んでるお嬢ちゃんなんです」
五月が話してくれたのは、近所に住む幼稚園に通っている女の子についてだった。
「可愛らしいお嬢ちゃんで、いつもニコニコ挨拶してくれるんですが、その子のお母さんに相談されたんです」
「気になることがあるのかな?」
「時々だるそうにしていたり、息が苦しいとかお母さんに訴えてくるそうで」
幼い子だけに、呼吸器や循環器の症状は気になるところだ。
「それは心配ね」
「でも、お医者さんが苦手というか嫌いらしくて……特に、男の先生が」
白衣を着た男性医師に予防接種の注射をされてから病院嫌いになったらしい。
「ああ、それで私なのね」
「はい。由美先生なら、とも子ちゃんも大丈夫かなと思いまして」
ちょうど幼稚園から帰ってくる時間だと言う。
すぐに診察してみましょうと由美が答えると、五月は嬉しそうに母子を迎えに行った。