憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
(二度と同じ過ちはしたくない)
彼女が自分との関係を隠そうとしていても、直哉は追いかけるのをためらわなかった。
五年前は、自分がすぐに追いかけなかったから由美を失ったのだ。
直哉がエレベーターホールまで行くと、ちょうど下行きの扉が開いた。
すぐに飛び乗ったが、各階に止まるしゆっくりとした動きにじれったさが爆発しそうだった。
一階まで降りてから、キョロキョロとロビーを見回したがどこにも由美の姿は見えない。
(呼吸器内科か……いや、私服だったから帰ったのか?)
近くを通った看護師に聞くと、通用口の近くで見かけたという。
また、直哉は走り出した。
青いスクラブ姿で院内を走るのは気がひけたが、周りからは急患かと思われているだろう。
(由美、どこだ!)
病院の通用口を出たら職員の駐車場だ。
その辺りにも姿はなかったので、道路まで出た。
少し離れてはいたが、夕暮れの歩道に彼女らしい人影が見えた。
立ち止まって、大きな息をしている。彼女もかなり走ったのだろう。
ゆっくりと彼女が歩き出すのを見て、慌てて後を追った。