憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


飛行機から降り立ったら、西海岸は快晴だった。
インディアンサマーと呼ぶ真夏のような日もあるらしいが、その日は過ごしやすい陽気で抜けるような青空が由美を迎えてくれた。

サンフランスコに着いたのは朝十時を過ぎた頃だった。
カルトレインに乗ったら一時間少々もあれば大学の近くまで行けるだろう。

直哉には空港に着いてすぐにメッセージを入れたが、返信はなかった。

(この時間、もう起きているはずなのにどうしたんだろう)

彼の家に直接訪ねる約束だったから、由美は少しでも早く着くようにタクシーに乗ることにした。
スタンフォードホスピタルの近くにある、直哉が友人たちと借りて暮らしているシェアハウスに向かう。

タクシーから眺めていると大学周辺には大きなマーケットや広々とした公園があって、金沢とは別世界だ。
明るい西海岸の日射しと同じで、すべてが眩しく輝いているようだ。

(直哉さんはこんな場所で勉強しているんだ)



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