憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
液晶画面には裕実の名が出ている。
「もしもし……」
『由美? 今週の当直代わってくれるわね』
いきなり裕実が話し出した。
明後日のことなのに、義姉は当直を由美が代わるのが当然だと思っているのだろう。
一瞬ためらったが、由美はきっぱりと義姉に告げた。
「申し訳ないけど、できないわ」
いつかは断ろうと思っていたが、いいタイミングだ。
直哉と顔を合わせてしまった以上、なるべく裕実の代わりは避けたかった。
『あら、困るわ。大事な家族の集まりがあるのよ』
不機嫌な裕実の声が聞こえたが、もう由美は怯まない。
「ごめんなさい。こちらも忙しいので、もう当直は無理なの」
『え? あなた、そんなに忙しかったっけ?』
裕美は由美に対して初めて会った日から変わらない、高飛車な口ぶりだ。
「会議中だから切りますね。今後はほかの人を探してください」
そう言いきって、電話を切った。
すぐに電源も切っておいたので、リダイヤルも無視だ。