憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
恋しくて



九月の半ばからデイサービス用の改修工事が始まると、立花診療所はとても賑やかになった。
美也子への影響が気になったが、若い職人さんたちが毎日出入りするのが殊のほか気に入ったようで笑顔が増えていた。

木曜日の午前中は、由美が森医師のもとで働く日だ。
診療時間が終わってからカルテの整理をし、それから由美が母屋に戻るといつもと家の雰囲気が違っている。
五月や美也子の笑い声が玄関先まで響いているのだ。

(お客様かしら……)

すでにリビングルームとダイニングルームはデイサービス用の広い食堂に生まれ変りつつある。サンルームも含めたらとても明るくて広々とした空間だ。
その部屋で、昔から使っている大きなダイニングテーブルを囲んで直哉が森医師や美也子たちと一緒に食事しているのが見えた。

「あ、お疲れさまでした。由美さん」
「お帰り、由美ちゃん」

「ただいま。あの……これは……」

どういう状況なのか由美が戸惑っていたら、珍しことに美也子がハキハキと喋って説明してくれた。

「由美ちゃんのお客様よ。お昼ごはんはまだだって。どうぞってお誘いしたの」

近頃の美也子はポツポツとしか話せなかったのに、きちんと会話が成り立った。

「そう……」

直哉の来訪がいい刺激になったのか、今日は認知症の症状など感じさせない表情だ。


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