憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました

「ああ……」

声をあげて泣き出した由美をそっと直哉が抱きしめる。
由美は今度は抵抗しなかった。
直哉の胸にこつんと額を預けると、泣いて言葉にならないのか口を開きかけては閉じていた。

「生まれてくることが……できなかったの……」
「ああ」

由美は息を吐くように、言葉を少しずつ繋いでいる。

「あなたの子どもよ……」
「わかっている」

それだけ言いきると由美は泣き崩れた。
すると抱き寄せる直哉の腕に力を込められてあのが伝わってきた。

「許してくれ、由美。君をこんなに傷つけてしまった」

五年前、ふたりは若さにまかせて情熱だけで肌を寄せ合っていた。
避妊はしたはずだったが、完璧ではなかったのだろう。
由美は妊娠し、心と体は傷ついた。

「どうして？　どうして今ごろ私の前に現れたの？」

泣きながら由美は直哉の胸を強く叩いた。

「あなたに捨てられたと思ったわ……」
「僕を憎んだろう」
「あなたが信じられなくて……辛くて……憎かった」

単なる悪戯のキスだったのを、由美は誤解してしまった。

「それなのに日本に帰ったら赤ちゃんが……悲しかった……」
「僕をもう一度信じてくれ。今度こそ、君の側を離れない」