グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
運命の人
 
 緑あふれる豊かな国グリーンピアトは、青い海が広がり領土が東西南北に別れているちょっと古風な国である。
 中心にグリーンピアトがあり、そこに神話の中に出てくるようなイメージを受けさせるとても大きなお城が建ちそびえている。
 白くて高い塀に囲われ、森林のような緑の木々に覆われ、茶色い外壁が高く積み上げられてゆく建物は屋根が三角形で目立つ赤色で定着している。
 一番高いてっぺんに、白地にブルーの六星のマークが描かれた旗が掲げられ、穏やかな風に揺れている。
 大きな鉄の門を開いて中へ入って行くと、アーケドのような道がお城の玄関まで続いていて周りは綺麗なバラの花が年中咲いているのが見えてくる。
 庭には大きな噴水がたてられ、中央には天使の像が置いてあり綺麗な水がいつも循環されている。
 噴水の周りには、綺麗な花壇や作物が育っている畑も作られているのが見える。
 遠くの茂みには沢山の木々が育っていて、いつも使用人達が丁寧に手入れをしている。
 そしてその奥には調理場があり、イカツイ感じのガッチリした男性のコック長がいつも美味しい料理を作ってくれている。


 お城の玄関は、階段を数段登と白い大きな扉が両方へ開く。
 その扉を入ってお城の中へ進むと、一直線に繋がる長い廊下。

 その廊下を歩いてゆくと、食堂や余暇を楽しむサロンや、応接間などが見渡せる。

 長い廊下を歩いて奥に進むと、広いらせん階段がある。
 その階段を上ってゆくと、2階に大広間があり、そこでは舞踏会や大勢招いた晩餐会などが行われる。
 時には各領土の領主がやって来て、会議を開く事もあるそうだ。

 そして更に上に向かうと、国王様の執務室と個人部屋、そして皇女様のお部屋などがある。

 
 そっとドアが開く音が聞こえて来た。
 茶色いドアを開いて中から出て来たのは、スラっと背の高い綺麗な顔立ちをしたクールな切れ長の目に澄んだ青い瞳のちょっと渋い感じの男性だった。
 ブルー系のジャケットに赤いネクタイ姿で、靴は茶系の革靴を履いている。
 

 この男性はこの国の国王様ジュニアール。
 12年前に音楽家の女性メイシスに出会い結婚して、一人娘のミディスが産まれたが、10年前にメイシスが突然事故で亡くなって以来、誰とも再婚しないまま一人で国を治めている。
 生まれつき心臓が弱く、あまり無理が重なると倒れてしまう事もあり、周りは再婚を進めているが断固として再婚はしないと言っている。
 最近はあまり顔色も良くなく、まだミディスも11歳と言う幼い子供である事からやはり一人では無理ではないかと心配されている。

「国王様。クラウドル先生がいらっしゃいました」

 ビシッと背筋を伸ばした黒服の、初老に差しかかった男性がやって来た。
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