グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~

 ジュニアール28歳、メイシス27歳の時だった。

 幸せな結婚を成し遂げ、1年後にはミディスも産まれて幸せいっぱいだったが…。

 12年前。
 メイシスは突然事故死した。
 無傷で何も外傷がないメイシスだが、打ち所が悪く「脳死」と診断された。
 
 脳死の診断をされたメイシスは、ドナー登録をしていた事から臓器は必要な人へ移植される事になった。

 永遠の別れとなってしまったメイシスに、ジュニアールは生涯再婚することなくミディスを育ててゆくと誓った。

 ミディスは1歳にもならない年齢で、メイシスが亡くなった事を理解できなままだった。

(貴方、もういいのよ。幸せになって…大丈夫よ、セシレーヌ先生はとっても優しくて素敵な人だから)

 笑顔でメイシスがジュニアールに言った。

(私、セシレーヌ先生にはとても感謝しているの。セシレーヌ先生が、私の命を受け継いでくれたから。とても嬉しいの)

 幸せそうに笑っているメイシス。
 その笑顔を見ていると、ジュニアールとても安心した。



 スーッと優しい光が差してきて、ジュニアールのぼんやりとした視界に病室の風景が写し出されて来た。

 じょじょにはっきりしてきた風景を確信して、ジュニアールは無事に手術が終わり助かったのだと思った。
「メイシス…有難うございます…」
 麻酔から覚めたばかりのジュニアールは、まだぼんやりとしていた。

 暫くすると、クラウドルとセシレーヌがやって来て手術が無事に終わり成功した事を話してくれた。
 暫くはリハビリをゆっくりと行い、回復するのを待つ事になる。

 まだ力ない声でジュニアールはお礼を言った。

 
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