グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
「なにこれ、どうゆう事? 」
驚いているセシレーヌにニコっと笑いかけたジュニアール。
「もう手袋は、必要ありませんね」
何が起こったのか分からず、セシレーヌは呆然としていた。
「次は、大きなマスクを外しましょう」
ふわりと、ジュニアールの両手がセシレーヌの頬を包み込んだ。
温かいジュニアールの手から、スーッと光が差し込んでくるように包み込まれたセシレーヌの両頬。
「もう、こんなに大きなマスクで顔を隠す事はりませんよ」
言いながら、ジュノアールはセシレーヌのマスクを外した。
すると。
今までマスクで隠れていたセシレーヌの口元は、シュッとシャープな顎のラインにプルっとした唇でとても可愛らしかった。
「とても可愛いですね。思った以上に、胸がキュンとします」
何を言っているの?
セシレーヌは自分の両頬に触れてみた。
すると、今まで感じていた違和感がなくスルっと滑らかな肌障りに信じられない表情を浮かべていた。
「最後にあと一つ。この眼帯を外したら、貴女はもう本当の自分に戻れますよ」
ジュニアールの手がセシレーヌの右目に触れられると、優しく煌々しい暖かさが目に入って来るような気がした。
(もういいの、貴女は幸せになって。それが、みんなの願いよ)
また胸の奥から聞こえて来た声に、セシレーヌは目頭が熱くなるのを感じた。
「…貴女の悲しくて、辛かった思いが私にも伝わってきます。…ずっと一人で背負て来たのですね。どんなに非難されようとも、貴女には目標があった。…その為にずっと、一人で頑張って来たのですね」
そうだけど…なんで分かるの? 何も話していないのに…。
ギュッと唇を噛みしめたセシレーヌ。
「もう一人で頑張らなくていいですよ。誰かに頼って、誰かに愛されて貴女は幸せになっていいのです。最後の重たい鎧を外します…」
フワッと眼帯を外されたセシレーヌは、ずっと重かった荷物が剥がれ落ちたような気がした。
マスクを外し眼帯をとったセシレーヌの素顔は、とても乱暴な言葉を使ったり愛想のない態度をとるようには見えなかった。
とても気品の備わった、どこかの国のお姫様のような可愛さの中に美しさを持った凛とした顔立ちをしている。
今まで良く見えなかった瞳は、とても澄んだ緑色の瞳をしていた。