グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
院長室。
クラウドルはセシレーヌを連れて、院長室へとやってきた。
何が起こったのかセシレーヌは話せる範囲だけ話した。
「なる程ね。それでか、国王様があんなに必死になっていたのは」
「…まさか、突然プロポーズしてくるとは予想もしていなくて…」
クラウドルはじっとセシレーヌを見つめた…。
「分かる気がするな。君は、とても魅力的だから。火傷の跡で、酷い顔をしていても。かなり注目されていたんだよ」
「そんな事ありません。…みんな、非難ばかりしていたので」
「国王様はずっと、誰とも再婚しないと言ってきたんだ。でも、あの目は本気だった。君はどうなんだい? 国王様の事、好きじゃないのかい? 」
「そんな事…身分が違うのだから…」
ごにょごにょと口ごもったセシレーヌを見て、クラウドルはクスッと笑った。
「なんだ。君も、国王様の事が好きなんだ」
「違う! それはないから…」
「別にいいと思うけど? 君はずっと頑張って来たんだから、心から愛してくれる人に飛び込んで行けばいいと思うよ」
「無理! 絶対に無理! 」
ムキになって否定するセシレーヌを見ていると、クラウドルは別の理由があるように感じた。
もしかして…
「ねぇ、ひょっとしてアノ事が原因で拒否しているんじゃないのか? 」
ギクッとセシレーヌの目が怯んだ。
その目を見ると、クラウドルは納得した。
「なんだか、運命を感じる気がするけどな」
「そんな事ないから…。アノ事を知れば、きっと私の事なんて殺したいくらい憎みたくなるに決まっているから」
「国王様は、そんなに心の狭い人じゃないと思うよ。それに、直感の強い人だから。もしかして、何か感じているかもしれないよ」
「とにかく無理! だから…」
間に挟まれたクラウドルだが、どちらの気持ちも分かるような気がした。
「とりあえず、担当を外れる事はやめよう。仕事は仕事と割り切って、やってくれたらいい。退院までの事だからな」
「…はい…」
気のない返事をしたセシレーヌ。