グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
入口に力強いジュニアールを感じると、同時に激痛に似た痛みを感じたセシレーヌはギュッとジュニアールの背中に爪を立てた。
「大丈夫。気持ちいですね…そのまま、私に捕まっていて下さい」
ゆっくりと、まだ狭いトンネルの中を入ってくるジュニアールを感じているセシレーヌはトンネルが広がって行く度に閉ざしていた扉が開かれてゆくように感じた。
痛みと共に伝わって来る暖かいエネルギー…
そして何度も「大丈夫…愛しています」と、繰り返してくれるジュニアールの声がとても心地よかった。
痛みがだんだんと快楽に変わる頃、体の奥まで強くて優しいエネルギーが伝わって来て「好き…愛している」と、頂点まで伝わって来るのを感じた。
頭が真っ白になりそうで何も考えられなくなりそうなくらい、暖かいエネルギーが包み込んでくれたのを感じた時、セシレーヌの頬に涙が伝った。
最高に幸せ…もう何もいらない…。
そう思ったセシレーヌは、感じた目のままそっとジュニアールを見つめた。
見つめる先のジュニアールは、とても愛しい目でセシレーヌを見ていた。
そして目と目が合うとそっと微笑んでくれた。
「最高です…よかった、無事に繋がることが出来て…」
優しく包み込んでくれる温もりに、セシレーヌは何も言えなくなった。
宿直の仮眠室で、こんな事をしているなんていけない事だけど…急患も入らず、とても平和な夜だから許してもらおう…。
暫く2人で抱き合ったまま寄り添っていたジュニアールとセシレーヌ。
仮眠が終わる時間帯になり、巡回する事にしてセシレーヌはジュニアールを病室まで送り届けた。
幸い誰にも見つかる事が無くホッとしていた。
夢を見ているようで、セシレーヌは信じられない気持ちでいっぱいだった。
誰かに恋して結婚するなんて、ずっと諦めていた。
どうせ顔の事で非難され、気にしないと言っていても心が折れて去って行かれるのが落ちだから人なんて好きにならない方がいいと思っていた。
これが夢ならどうか醒めないでと、セシレーヌは強く願っていた。
それから3日後にジュニアールは退院した。
回診にセシレーヌが来ると、喜びいっぱいでキスをしてくれたり抱きしめてくれたりと、まるで少年のように喜んでいるジュニアールを見ると年上なのに可愛く思えてしまう。
退院して行ジュニアールを見送りながら、セシレーヌは胸がいっぱいだった。