グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
プライドが高そうな顔つきで、キツネのような目をしているイディア。
小柄で太めの体系を隠す為、いつもロングワンピースを着て、髪をクルクルと巻いて子供のような姿を作っているが、年齢は40歳を超えていると言われている。
ジュニアールがメイシスと結婚する前から、ずっと狙っていたようだが、いくら言い寄って行っても相手にされなかった。
メイシスが亡くなってから、お城に押しかけてくることも多かったが、ジュニアールが手術を受けてから暫く大人しかった。
ブッドルが事実確認に行くと、居直って「キスしてくれたから結婚して、当たり前」と言っていたイディア。
とりあえず報道は事実無根だと報じることを言うと、黙って何も言わないかったイディア。
「貴女がやった事は、王室に対する侮辱でもあります。ご自分から一方的になされた事です。良く、お考えになられて下さい」
それだけ言うとブッドルは帰って行った。
「何よ、こんなにお金持ちで世界で一番美しい私を。妃に迎えなんて、どうかしているわ」
手鏡を見ながらイディアは自分に酔いしれているようだ。
ブッドルがお城に戻ると、報道関係者が待ち構えていたが対応することなく車を走らせそのままお城の中へ戻って行ったブッドル。
暫くはお城の外に出れそうもない様態に陥ってしまった。
病院では、セシレーヌも雑誌記事を読んでいた。
クラウドルが心配していたが「私には関係ない事です」と言って、何も気にしていないそぶりを見せていた。
看護師達が噂話で、ジュニアールが再婚すると話していても、気にも留めず仕事をしているセシレーヌ。
だが内心はあの夜の事を思い出して、モヤっとした気持ちも残っていた。
心から愛していると言ったジュニアールの目に、嘘はなかった…今まで遠目で見ていたジュニアールだが、あのような記事で結婚を決めるようには思えない。
だが王室と貴族は近しい存在であるのは確か。
平民が口出しをできる事ではなかった。
あの日の事は一夜の夢…だからいつかは覚めてしまう…ただ、その時が来ただけだ…。
セシレーヌはそう思うようになった。