グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
お弁当を食べ終わると、ミディスは空いたお弁当箱を持って帰って行った。
一人で帰るのは危ないと思い、セシレーヌが病院の外に待機しているタクシーまで送って行った。
「お姉ちゃん、また来るね」
屈託もない笑顔でミディスはそう言って帰って行った。
わざわざお弁当を作って来てくれるなんて…。
嬉しい気持ちがいっぱいになったセシレーヌ。
そのまま病院の中へ戻ってゆくと。
前方からイディアと背が高く、きつい感じの男性医師が歩いてきた。
待合室で見かけたけど、今まで診察にかかていたのだろうか?
そう思いながら2人が歩いてくるのを見ていたセシレーヌ。
「先生、これで先生はこの病院の時期院長に決まりですね」
「有難うございます」
「私が王妃になったら、この病院の気に入らない医師は全員クビにしてやるから安心して」
「でも、この病院には優秀な医師ばかりがいますので。安易にクビにしては困りますよ」
「大丈夫よ。こっちには、強い味方がいるじゃない」
フフっと笑いを浮かべて、イディアはお腹をさすった。
「ここに、国王様の子供がいるのよ。誰にも邪魔させないわ」
「そうですね」
隣にいる男性医師もニヤッと怪しい笑みを浮かべた。
セシレーヌは物陰に隠れて様子を見ていた。
イディアの隣にいた男性医師は、名札に「トワイヤル」と書いてあり、担当が産婦人科になっていた。
トワイヤルの事は、セシレーヌも耳にした事があった。
お金の為ならカルテを偽造したり、浮気した女性が浮気相手の子供である事がバレないように細工したりと悪行を行っていると噂が広がっていて、国立病院でも解雇させるべきだと問題になっている医師である。
お金がない平民には冷たく、お金持ちであればいう事を聞く医師で、重症患者でもお金がい平民なら死んで当然だと思っていると言われている。
イディアは国王様の子供がお腹にいるとか言っていた…
もしかして2人で何かを企んでいるのではない?
セシレーヌは直感でそう思った。