グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
貴族出身のセドリシアは、早くに両親を亡くして兄弟を火災で失ってから一人で家を守って来た。
一度結婚しているが、妻は突然失踪して行くへ不明になり、未だに行くへが判らないままである。
結婚してたと言っても、入籍する前に失踪され正式な結婚はしていないようだ。
そんな人が何故、セシリアを訪ねて来たのか?
ロビーの先にある、オシャレなカフェへとやって来たセシリアとセドリシア。
ここはよく入院患者と面会に来た家族が寛いで、うっくりとお茶や食事を楽しむカフェ。
病院の中のカフェとは思わせない程、ゆったりと癒される空間が広がり、個室のように席も間隔があいていて座るソファーにゆったりとくつろぐことが出来る。
窓際から心地よい日差しが入って来る、中庭の木々が見える場所へ座ったセシリアとセドリシアは無難な珈琲を注文した。
「やっと、お会いすることが出来て嬉しいです」
セドリシアは見かけからは想像できな、穏やかな笑みをセシリアに向けてきた。
「実は、私は貴方のお父様と兄弟になります」
「え? 父は一人っ子だと聞いていおりますが? 」
「はい。私は、産まれてすぐに養子に出されてしまったので。貴女のお父様とは、戸籍上は兄弟ではなくなってしまいました。家柄の事情が重なり、強制的に養子に出されたご様子だったので。お話になれていなかったのだと思います」
強制的…家柄…。
そう言えば父の家族の事は聞かされたことが無かったなぁ…。
母の実家は資産家で、南グリーンピアトではかなりのお金持ちだと聞いていたけど、遠い南グリーンピアトにはなかなか行けず…数年に一回くらいのペースで、お爺ちゃんとお婆ちゃんが来ていたけど。
火災に巻き込まれてから、2人共すっかり弱くなってそのまま亡くなったと聞いてるから…。
「驚かれているのは、十分承知しております。突然、見ず知らずの男が現れてお父様の兄弟だと言われても信じがたいものです。私はずっと、貴女のお父様を探していました。この世でたった一人の、血を分けた兄弟ですから」
「そうでしたか…」
「実は25年前に、お父様とは会っています」
「え? そうなのですか? 」
セドリシアは鞄から一枚の写真を取り出して、セシリアに見せた。