グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
王室の車が病院の玄関に横づけになり、後部座席のドアが開かれるとジュニアールが降りて来て、ひょいと抱えられたミディスが降りてきた。
ミディスを抱きかかえたまま、ジュニアールは急ぎ足で病院の中へ入って行った。
ジュニアールがやって来ると、クラウドルが走ってきた。
「クラウドル先生! 」
「国王様、どうぞこちらへ」
看護師達がストレッチャーを用意して、ミディスを乗せるとそのまま処置室へ運ばれた。
運ばれるミディスにジュニアールは、後からゆっくりとついて行った。
処置室へ運ばれたミディスは、怪我をしたようで治療を受けていた。
頭を怪我したようで、3針ほど縫ったようだ。
ミディスを発見した使用人の証言によると、中庭で倒れているミディスを発見した時、既に怪我をしていて声をかけると反応はあったがかなりぐったりとしていたようだ。
処置に1時間ほどかかったが、他には外傷がなく様子を見るために1週間ほど入院する事になった。
病室はジュニアールが使っていた王室専用の病室。
麻酔でまだ眠っているミディスの傍に、ジュニアールがそっと着き添っている。
「国王様。使用人よりこれを預かってきました」
ブッドルから差し出されたのは、ダイヤのついた派手なイヤリングだった。
そのイヤリングに、ジュニアールは見覚えがると思った。
「皇女様のお傍に落ちていたようです。お怪我の具合からして、皇女様は後ろから誰かに、殴られた形跡がございます。恐らく、そのアクセサリーの人物が犯人ではないかと思われます」
「そうですか…。その事は、追々に調べてみます。今は、そっとしておいて下さい」
「畏まりました」
ブッドルが去った後、暫くジュニアールはミディスを見つめていた。
ミディスを見つめていると、中庭の花壇で遊んでいるミディスが見えてきて、綺麗なバラの花を見ているミディスの背後から迫って来る黒い影が見えてくる。
その影が何か鋭い凶器でミディスを後ろから殴りつけた!
痛みで倒れたミディスを見て、不敵に笑ったその人物は…
イディアだった!
不敵に笑ったイディアは、悪びれることなくそのまま去って行った。
その時、イディアがつけちたイヤリングが片方落ちたようだ。
「なるほど…そうゆう事でしたか…」
見えてきた映像に、ユニアールは珍しく怒りを露にした目を浮かべていた。