グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~

 それから数日後。

 セシレーヌはセドリシアに護られながら出勤していた。
 病院にはミディスが入院しているため、ジュニアールと会う確率もある為、なるべく外科には近づかないようにしていた。

 クラウドルはイディアの妊娠がおかしいと気づき、カルテを調べていた。

 結婚報道が報じられ、数日後にイディアは産婦人科を受診している。
 その時の記録には、妊娠4週目と診断されているが、まだ心拍も確認できていたいため1週間後に再受診になっている。

 1週間後の再受診で心拍を確認した事で妊娠が確定。
 そして妊娠が確定した後に、あの妊娠報道が流れている。

 しかし、過去の受信記録を辿って行くと、とんでもない記録が出てきた。

 イディアはここ10年余り産婦人科を受診し続けていた。
 排卵検査を頻繁に行い、まるで不妊治療に来ている患者と同じようだった。
 
 イディアの受診を担当しているのはトワイヤル。
 傍にいた看護師の証言では、トワイヤルとイディアの間には何か秘密があるように感じたと言っている。
 内診をする時、トワイヤルは看護師を一切傍に付き添わせないで密室にした状態で診察していた。
 時々、変な声も聞こえて来て、それを耳にした看護師が診察室で何か関係を持っているのではないかと噂する事もあった。

 妊娠報道の後、イディアは妙にトワイヤルと親密そうで2人の間には何か秘密があるようだと看護師が証言している。

 
 暫く考えていたクラウドルは、トワイヤルに暫く診察を休んでもらう事にした。
 病院側からの休暇ゆえに、有給休暇と同じで給金は発生すると話すと、それなら構わないと言って休暇に応じてくれた。



 今日はイディアが定期健診に来る日である。
 トワイヤルが休暇中の為、クラウドルが変わりに診察する事になった。

「あら、今日は珍しいのね。院長自らが診察しているなんて」

 妊娠しているというのに、相変わらず露出の高い服装でハイヒールを履いているイディアにクラウドルは少し呆れていた。

「本日は貧血検査の為、採血をさせてもらいます」
「あら、そう」

 素直に応じたイディア。

 だが、この採血は実は貧血検査ではなく他の目的があった。



 診察を終えてイディアが帰った後、クラウドルはある検査を始めた。
 
 それは…。
 イディアのお腹の子供が誰の子供であるのかを、血液検査で調べる事にしたのだ。
 お腹の中にいる大事が産まれてくる前に、親子鑑定をするのは血液検査で出来る。

 予め、ジュニアールには事情を話して採血をしてもらっていた。
 そしてトワイヤルが休暇に入る前に、ちょと理由をつけて血液検査をするため射に血をしてもらっていた。
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