グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
「…先生。セシレーヌ先生にお会いしましたら、一つだけ伝えて頂けますか? 」
「はい、何でしょうか? 」
「私の気持ちは何一つ、変わっていないと伝えて下さい」
「は、はい…」
何一つ変わっていない…。
そう言ったジュニアールの瞳は、とても真っ直ぐな純真な目をしていた。
ずっとメイシスが亡くなってから、誰とも再婚しないと言っていたジュニアールがセシレーヌにプロポーズしたのは驚いたが。
確かに今のセシレーヌを見れば、ジュニアールが惹かれるのも分かる気がするとクラウドルは思った。
夕方になり。
勤務を終えたセシレーヌが病院の外に出てくると、トワイヤルが待ち伏せしているかのようにウロウロしている姿が目に入った。
セシレーヌはそのまま裏口へと向こう事にした。
迎えの車が裏口まで回ってくれて、そのまま乗り込んで帰って行くセシレーヌ。
セシレーヌの乗り込んで車を、病室の窓から見ていたジュニアールがいた。
遠ざかる車をずっと見ていたジュニアール…。
セシレーヌが車を使っているという事は、誰かに護られているのだろうか?
ジュニアールは直感的にそう感じ取った。
日が沈み夜になると病院は完全看護の為、ジュニアールはお城へと戻って行く。
ブッドルが迎えに来て車に乗り込もうとしたジュニアールは、セシレーヌを乗せた同じ車を目にした。
もしかしてセシレーヌが乗っているかもしれない。
そう思いながら車へと歩み寄って行ったジュニアール。
すると、車の中からセドリシアが降りて来た。
セドリシアを見ると、ジュニアールは足を止めて立ち止まった。
ん? と、セドリシアはジュニアールを見た。
セドリシアと目と目があったジュニアールは、会釈をした。
「もしかして、国王様でございますか? 」
「はい。突然近づいてしまい、申し訳ございません。同じお車に乗っている人を、見かけましたので」
ほう? と、少し眉を上げたセドリシア。
そんなセドリシアを、ジュニアールはじっと見つめていた。