グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
「皆様、お騒がせして申し訳ございませんでした」
乗船客に向かってジュニアールは深々と頭を下げた。
セシリアもそっと頭を下げた。
「お幸せに」
「結婚式、楽しみにしているよ」
お祝いの言葉をかけてくれる乗船客の中、ジュニアールはセシリアと手を繋いで王室の船へと戻って行った。
セドリシアはこれで良かったと思った。
セシリアの本当の幸せ…心から愛する人と一生添い遂げて欲しいと思ったのだ。
王室専用の船へ戻ったジュニアールとセシリアは、せっかくだからグリーンピアトの周辺を回ってから戻る事になった。
船内でゆったりとソファーに2人で座って、窓から見える風景を楽しみながらギュッと手を握りあっているジュニアールとセシリア。
「あの…お伝えしなくてはならない事が、あります」
「なんですか? 」
「はい。実は…子供を授かってしまったのですが…」
「本当ですか? 」
セシリアはそっとお腹に触れた。
そこは少しふっくらとしていて、確かに別のエネルギーを感じるとジュニアールは思った。
そっと、セシリアの手に手を重ねたジュニアール。
「本当ですね。元気なエネルギーを感じます」
「はい…どうやら、双子の赤ちゃんのようなのです」
「双子ですか? それは楽しみですね、一度に2人もきてくれるなんて」
「…はい…」
ちょっと照れたように返事をしたセシレーヌ。
そんなセシレーヌを、ジュニアールはそっと抱きしめた。
「もう二度と、離れたりしないで下さい。…貴女に会えない日々は、とても辛くて苦しかったです…」
「私も同じでした…」
「よかった本当に…」
抱きしめられたジュニアールの腕の中は、とても暖かった。
何も告げずに南グリーンピアトに行く筈だったが…もしかしたら、お腹の子供が知らせたのかもしれない…。