グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~

 看護師達が噂話をしていると、クラウドルがやって来た。

「院長! 」
「院長は知ってました? 」
「セシレーヌ先生が、国王様とこんな関係になっている事」
「しかも、火傷の跡までなくなっているなんて」

 クラウドルは呆れたようにため息をついた。

「君達は、相変わらず人の噂話が好きだね。人の事よりも、自分の事を見るのが先なんじゃないか? 愛し合う者同士を、素直に祝福してあげるそれだけだと思うよ」

 サラッと流してしまったクラウドルは、そのまま歩いて行った。

 看護師達はちょっと複雑そうな顔をしている。




 青天の空の下。

 ジュニアールとセシレーヌは王家の墓へやって来た。
 代々のご先祖が祭られている王家の墓は、立派な墓石で出来ていて威厳がある。

「セシレーヌ。私と一緒に、メイシスへの愛を鎮魂して頂けますか? 」
「私が一緒にですか? 」
「はい。これからは、貴女と一緒に歩いてゆくのです。メイシスへの愛は鎮魂して光に返します」
「分かりました」

 隣どうして並んで、お墓に手を合わせたジュニアールとセシレーヌ。
 
 ぽわっと暖かい光が一つの光となって、天へと昇ってゆくのが見えた。
 そしてキラキラと七色の光が一面に広がり、暖かい祝福をしてくれているようだった…。


「これで、メイシスへの愛は鎮魂できました。有難うございます」
「私も、胸が軽くなったような気がします」
「メイシスも別の星で、生まれ変わっているようです。今ここにいる私達で、この先は幸せを気づいてゆきましょう」
「はい…」

 亡くなった妻への想いをずっと抱いたまま、誰とも再婚しないと決めていたジュニアールが、命を懸ける手術の執刀に選んだセシレーヌに再び恋をした。
 セシレーヌは亡くなったメイシスの命を受け継いだことに、ずっと罪悪感があり、本当の自分を隠したまま生きて来た。

 命が紡がれそこに再び愛を紡いだジュニアールとセシレーヌ。
 2人の恋物語はこのグリーンピアトに、また新しい歴史として刻まれてゆくだろう…。

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