グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
運命の手術
2週間後。
いよいよ、ジュニアールの命がかかっている手術が行われる日がやって来た。
手術の為、ジュニアールは前日より入院する事になり執事のブッドルに連れられて病院にやってきた。
国立病院はグリーンピアトでも一番大きな病院で、腕利きの医師が揃っている。
王族だけではなく貴族や伯爵も利用する為、病室は特別室が作られており、一般病棟とはまた別格になっている。
まるでリゾートホテルのような個室で、11階建ての最上階で大きな窓からは最高の風景が見渡せる。
床にはフカフカのカーペットが敷いてあり、ベッドもキングサイズのフカフカベッドが用意されていて一人で寝てもとても広々としている。
カーテンもグリーン系で爽やかに統一されていて、気持ちが穏やかになるようにとクラッシックが流れている。
備え付けの冷蔵庫もあり、飲み物やちょっとした食べるものはいつも入っている。
お風呂とトイレも別々で備え付けてあり、お風呂はまるで温泉のように広くて露天風呂のように外も見ることが出来る。
トイレはシンプルな様式が備え付けてあるが、ドアを開けると蓋が自動で空くようになっていて、達がると自動で水が流れてゆく仕組みになっている。
「国王様、お着替えはこちらのタンスにしまておきます」
「有難うブッドル。後は自分でできるから、もう帰っても大丈夫ですよ」
「かしこまりました。それでは、私はこれで失礼します」
一礼をしてブッドルは帰って行った。
病室を出て、廊下を歩いて来たブッドルは、前方から歩いてくるセシレーヌに出会った。
お城に来た時とは違い、白衣姿のセシレーヌはちょっと落ち着いた清楚な感じがする。
歩いて来たセシレーヌと目と目が合い、ブッドルは会釈をした。
セシレーヌは不愛想のまま会釈をして、そのまま通り過ぎて行こうとした。
「お待ち下さい、セシレーヌ先生」
呼び止められ立ち止まったセシレーヌは顔だけ振り向いた。
「セシレーヌ先生。明日は、宜しくお願い致します」
姿勢を正して一礼するブッドルに、セシレーヌはこくりと頷いた。
「先生になら、私も安心してお任せできると信じております。国王様が自ら進んで、誰かにお願いする事は今までなかった事でございます。よほど、先生の事を信頼されての事と思われます」
フイッと背を向けたセシレーヌは、小さくため息をついた。
「期待しないでよ。…期待されても、ダメな時はダメなんだから…」
シレっと言い放ったセシレーヌの言葉が、ブッドルの胸にズキンと響いてきた。
その重みはとても悲しくて、失望感がいっぱいだった。
「…どうなっても責任はとらない。初めから、そうゆう約束だから。でも…万が一のことがあれば、いつでも私の事を死刑にでも何にでもすればいい…」
それだけ言うと、セシレーヌ去って行った。
遠ざかるセシレーヌを見ていると、ブッドルは何だかセシレーヌは自分で自分を痛めつけているように見えた。
ずっと何か自分を責め続けているような、そんな辛さが伝わって来た。