主人公の由希には、“人のものだから欲しくなる”という困った悪癖が。
子ども時代には盗みを働くくらいでしたが、やがてそれがひとの彼氏等の“人間”にまで…。
怖いのは、由希には罪悪感が欠落していること。
奪ってしまったら満足して、ポイッ。
一度痛い目に遭ったものの、次は更に狡猾にかつ大胆に。ダブル不倫という泥沼に。
なにをしても許してくれる優しい旦那さんにあぐらをかくのですが…。
本当に怖いのは、実は登場人物たちの中ではあの人。由希を害そうとした友達でも、遊び人の雅人でも由希自身でもなく…。
なんとなくうっすらと感じていた、完璧すぎる優しい旦那さんの…本当の姿。
ラストまで読んだ時、そういう意味か!と唸りました。お見事です。