何度だってキミに、好きを届けたくて。
「乃亜はきっと、頑張ろうと思ったらそれしか見えなくなっちゃうから。気分転換をして、それでもう一度、作文を頑張ってほしかったの」

「それで喫茶店に……?」

「うん。喫茶店だったら、思いついたときに原稿用紙とペンがあれば書けるでしょ?」



私は市川さんを眺めているだけでも幸せな時間だし。

そう言って、ふふっと柔らかい笑顔を浮かべた莉緒ちゃん。


私は言葉が出なかった。

莉緒ちゃんは、そこまで私のことを考えてくれていたんだ……。

なにも気づかなくてごめん。


だけど、それ以上に。



「私のこと、いっぱい大切にしてくれてありがとう……っ!」

「当たり前じゃん。乃亜は、私の1番の友達だもんっ」

「りおちゃ……っ」

「もう、泣かないのっ。私まで泣いちゃ、うじゃん……」



私たちはどちらともなく抱き合って泣いた。

子供みたいに声を上げて、たくさん泣いた。

ひとしきり泣くと、私たちはおでこをこつんとぶつけて笑い合った。

その幸せな声は空高くまで響いた。
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