何度だってキミに、好きを届けたくて。
「市川です。今日はゆっくりしていってね」

「あっ。伊織 乃亜です! ありがとうございますっ」



私たちは市川さんに案内され、店内奥の4人掛けのテーブル席に座った。

私の目の前に座った莉緒ちゃん。

お互い、空いている隣の椅子に鞄を置いた。

この席からは店内を見渡せて、なんだか落ち着く。

カウンター席の奥にはキッチンが併設されていて、スタッフさんの様子もうかがえる。

私たちが市川さんの様子をちらちらと見ていると、市川さんは微笑みを浮かべてメニューを持ってきてくれた。



「お待たせしました。こちらメニューです。……莉緒ちゃんはいつものカフェオレ?」

「はいっ」



莉緒ちゃんはカフェオレって決まっているのか。

それを覚えている市川さんも素敵な人だなって思うけど……、でも、それ以上に、莉緒ちゃんを見る優しい瞳が素敵だなって思った。

市川さんも莉緒ちゃんのこと好きなのかな、と思うくらい温かい空気が流れている。



「乃亜ちゃんはどうする?」

「あ、えっと。ココア、で」



私は慌ててメニューを開いて、ココアを注文した。

お似合いだって思うほどの2人を見ていたら、すっかりメニューのことを忘れていた。

ひとり慌てて恥ずかしい……。
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