何度だってキミに、好きを届けたくて。
「かしこまりました。カフェオレとココア、おひとつずつですね。少々お待ちください」



市川さんは軽く頭を下げてからカウンターの奥へと入っていった。

その姿を見てうっとりしている莉緒ちゃんを見つめる私。

私の視線に気づかないほど市川さんを見ている莉緒ちゃんは、恋する女の子の象徴みたいで可愛い。

こんな莉緒ちゃんの姿を今まで見たことがなかったから、なんだか嬉しくて心がワクワクする。


そんな私の視線に気が付いたのか、莉緒ちゃんはこちらを見た。

一瞬で”恋する乙女の表情”が消えたことに私は思わず笑ってしまう。



「なによー」

「ううん。莉緒ちゃん、恋しているな、って思って」

「こっ、ここで言わなくても!」



慌てて私の口を押えようとする莉緒ちゃん。

そんな私たちのもとへ、カフェオレとココアを持った市川さんがやってきた。



「お待たせしました。ん? なんかあったの?」

「いやっ。なんでもないですっ!」



莉緒ちゃんは立ち上がりかけていた体を戻し、椅子に座りなおした。

さりげなく髪型を整えている莉緒ちゃんは本当に可愛い。


そんな莉緒ちゃんの気持ちに市川さんは気づいているのかな?

まあ、それは見守っておくことにしよう。
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