何度だってキミに、好きを届けたくて。
「じゃあ、ごゆっくり」



再びカウンター奥に入っていった市川さんの背中を再び、うっとりと眺めている莉緒ちゃん。



「莉緒ちゃんは平日もよく来ているの?」



莉緒ちゃんはこちらに顔を向けて、当たり前じゃん、って顔をした。



「もちろん。一度家に帰って着替えて来るよー」

「毎回大変じゃないの?」

「そんなことないよ。好きな人に会えるならそのくらいなんてことないし、それに、生徒指導室に呼ばれて喫茶店に行けないことのほうが悲しいし」



莉緒ちゃん、すごいなぁ。

好きな人のためにそこまで考えて行動できるなんてすごい。

私はできているのかなぁ。


なんて思わず呟くと、莉緒ちゃんは目を丸くした。



「乃亜だって夜ランニング一緒にしているんでしょ? 恋のためにも伊吹くんのためにも頑張ってるじゃん」

「もっと頑張りたいの。ずっと、春佳くんの隣にいられるように」

「私も。市川さんに少しでも近づけるように頑張るっ」
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