何度だってキミに、好きを届けたくて。
一瞬触れた手に春佳くんの温もりを感じる。

離れた右手をぎゅっと左手で握りしめた。

春佳くんと触れちゃったよ……っ。

春佳くんって意外と手が大きいんだな……。


って、なに考えているの、私!

ひとり、ドキドキしている心臓を握りしめた手で抑えていると、眞尋くんの声が聞こえた。



「春佳」



ぱっと春佳くんの斜め後ろに視線を移せば、涼しげな表情をした眞尋くんが立っていた。

今の見られたかな……?

そんな私におかまいなく、眞尋くんは言葉をつづけた。



「市川が春佳のこと呼んでる」

「市川さんが?」



眞尋くんがくいっと指で教室のドアを指さす。

そこに立っていたのは男バスのマネージャー、愛美さんだった。

愛美さんは春佳くんと目が合うと、ひらひらと可愛らしく手を振る。


ふんわりとした髪型に、少し短いスカート。

女の私でも思ってしまう、守りたい系美少女。

そんな愛美さんの言葉を思い出す。


愛美さん……。

春佳くんのこと、好きって言っていた……。
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