何度だってキミに、好きを届けたくて。
「話って、なに?」



爽やかな風が吹き抜ける。

私の髪をなびかせ、眞尋くんの言葉を私に届ける。



「俺、伊織のことが好きだ」



一瞬なにを言われたのか分からなかった。

聞き間違いかと思った。

だけど、眞尋くんは本気の目をしていて、私の瞳は揺らいでしまう。



「えっと、」

「伊織を見て思ったよ。一目惚れって本当にあるんだな、って」

「っ、」



眞尋くんが優しく微笑む。

こんな優しい表情を見たことない……。

私は告白されるという初めての状況にどうしていいのか分からなかった。



「それから、伊織の可愛いところとか一生懸命なところとか見つけるたび嬉しかった」

「……っ」

「でも、春佳に告白したって聞いたときは焦った。俺なりに振り向いてもらえるよう、さりげなく頑張ってみたけど、伊織は気づかなかったみたいだな」



気づかなかった。

眞尋くんが私のことを好きだなんて。

眞尋くんの行動に全て意味があったなんて。


なにも言えない私の頭を眞尋くんが撫でる。

だけど、この手じゃないんだ……。

私が触れて欲しいって思うのは、この手じゃなくて……。
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