何度だってキミに、好きを届けたくて。
「春佳のお見舞いに行こう。運ばれたのは春佳が通院している病院だから、場所は分かる」



春佳くんのお見舞い。

正直すぐに『行く』とは頷けなかった。

もちろん春佳くんの容態を知りたい。

だけど、春佳くんの苦しんでいる姿を目の当たりにしたときに、自分がどうしていいのか分からなくなるかもしれない。

行っても、なにもできないかもしれない。

邪魔になるだけかもしれない。


……でも。

このまま春佳くんから目をそらすのも嫌だ。

春佳くんは、どんな春佳くんでも変わらないよね……。



「行くっ。春佳くんのところに行くっ」

「ああ。……でも、病院までどうやって行くか、」



病院の場所を聞けば、隣町にあるらしい。

電車もこの付近は通っていなくて、行くにも行けない。


2人で頭を抱えていると、この場に似つかわしくない程の明るい音楽が鳴る。

携帯の着信音……?

でも、私、携帯持っていないから、眞尋くんの携帯……?


眞尋くんが鞄から携帯を取り出す。

鳴り続ける着信音。

画面を見た眞尋くんはすぐに携帯を耳に当てる。
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