何度だってキミに、好きを届けたくて。
なにも言えない眞尋くんの腕を取って引っ張って連れて行こうとする愛美さん。

だけど、眞尋くんの足は思うように動かなくて、歩いている、とは言いがたい状態だった。

そんな私たちのもとへやってきたのはバスケ部顧問、ゴリ先生だった。



「……ここにいたのか」

「ゴリ先生……」



ゴリ先生の姿に、眞尋くんは驚いた様子だった。

そんな眞尋くんとゴリ先生を見て、愛美さんは眞尋くんの腕を離す。

緊迫した空気が流れる。



「……市川は先に部員たちのところへ戻って、サポートしてくれるか? 倉木とは俺が話す」

「わかり、ました」



愛美さんは目に涙を浮かべたまま、私をキッと睨んで走り去っていった。


残された私と眞尋くんと、ゴリ先生。

一番最初に口を開いたのはゴリ先生だった。

いつもの明るく熱血な感じとは違う、穏やかで冷静な声。
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