何度だってキミに、好きを届けたくて。
「倉木が伊吹のことを想う気持ちは分かる。早く見舞いに行きたいよな」

「じゃあっ、」

「だけどな。伊吹は本当にそれを望んでいるのか?」



ゴリ先生の言葉に、眞尋くんが息をのんだことが分かった。

私も眞尋くんと同じで、ゴリ先生の言葉になにも言えなかった。



「伊吹は、部長のお前と同じくらい、試合に勝つことを望んでいる」

「……」

「病気に苦しみながらも一生懸命努力していた伊吹に、手ぶらで見舞いに行くのか?」

「っ、」

「”勝利”という見舞いを持って、一刻でも早く病院に行けるようにしたらどうだ?」



ゴリ先生の言葉が心に刺さる。

威圧的ではない、諭すような口調のゴリ先生。


春佳くんの気持ちも伊吹くんの気持ちも、他の部員の気持ちも大切にしていることが伝わる。

きっと、それは眞尋くんにも伝わっていると思う。

だって、彼のこぶしの震えはいつのまにか止まっていたから……。
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