何度だってキミに、好きを届けたくて。
「分かりました。試合に出ます。部長として、部員たちと一緒に試合に勝ってみせます」

「ああ。倉木ならできる」



そう言ってゴリ先生は眞尋くんの頭に手を置いた。

その大きな手から伝わるものは計り知れない。

だけど、温かくて大きなものに勇気づけられ、守られているような気がした。

それは見ている私にも伝わった。

ゴリ先生と眞尋くんのまとう空気感が変わったような気がしたから……。



「俺、部員たちのところに戻ります! 伊織、春佳のこと頼んだぞ」

「……分かったっ」



眞尋くんが体育館のほうへと走って行く後ろ姿を見つめる。

姿が見えなくなったところでゴリ先生に体を向ける私。


ゴリ先生がゆっくりと口を開いた。



「伊織、今日も応援に来てくれていたんだな」

「……はい」

「そうか」

「ゴリ先生は、春佳くんの病気のこと、知っていたんですか……?」



ゴリ先生は小さく頷いた。
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