何度だってキミに、好きを届けたくて。
「倉木が、この子に代わりに病院へ行ってくれ、と頼んでいましたよ」



お母さんが私に目を向ける。

誰? という表情をしているのは一目瞭然。

私は慌てて頭を下げた。



「伊織 乃亜ですっ。春佳くんのクラスメイトでっ、」

「乃亜、ちゃん?」

「はいっ」



私は恐る恐る顔を上げる。

春佳くんのお母さんにとったら私は、見ず知らずの、春佳くんのクラスメイト。

そんな子がなんで息子の病院に? って思うのは普通だよね……。

お見舞いにいけないかも、という不安と緊張感で冷や汗が流れる。



「あなたが乃亜ちゃんなのね……っ。春佳から話は聞いているわ」

「え……?」

「春佳の病院に来てちょうだい」



そう言ってお母さんは私の手を握った。

そして、ゴリ先生に頭を下げた。



「乃亜ちゃんをお預かりします。お騒がせして申し訳ありません。……失礼します」

「またご連絡ください」



お母さんは再び頭を下げてから、私の手を引き歩き出す。
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