何度だってキミに、好きを届けたくて。
お母さんの車はすぐに見つかった。

市営体育館に隣接されている駐車場に、白い車が曲がって止めてあった。

急いでいたことが伝わる。



「乃亜ちゃん乗って」

「はいっ」



私はお母さんの言葉に慌てて助手席に乗った。

私がシートベルトを締めたことを確認してから、春佳くんのお母さんは車を出発させた。


手に汗がにじむ。

膝の上で握る手をじっと見つめていると、お母さんが口を開いた。



「乃亜ちゃん、ありがとう」



ぱっと隣を見る。

正面を向いたまま運転しているお母さんの横顔を見つめた。



「今日も試合の応援に来てくれていたのね」

「は、はい」



”今日も”……?

私はお母さんの突然の言葉に戸惑いながらも頷いた。



「練習試合の時、1番に応援してくれたって春佳が嬉しそうに話していたわ」



お母さんは目に浮かべた涙を流さないようにこらえているようだった。

口角を上げ笑顔を作ろうとするお母さんの姿に泣きそうになる。
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