何度だってキミに、好きを届けたくて。
「莉緒ちゃん。行ってきていいよ」

「え、でも」

「私、ちょっとお腹痛くなっちゃたみたいだから。休んでるね」



そう言って私は莉緒ちゃんの背中を押す。

莉緒ちゃんは戸惑っている様子だったけど、私は莉緒ちゃんを困らせたくなかった。

莉緒ちゃんの肩越しに、莉緒ちゃんを呼んだ女の子たちの顔が見えた。

勝ち誇ったような笑みを浮かべている女の子たち。

クスクスと笑っている様子がうかがえる。



「伊織さんもごめんねぇ。瀧本さんを借りるねっ」

「あ、うん……」



私は莉緒ちゃんに軽く手を振ってからゴリ先生のもとへ行く。

私を呼ぶ莉緒ちゃんの声が聞えたけれど、私は聞えないふりをしてしまった。

だって、今振り返ってしまったら、泣いてしまいそうな気がするから。

そんな顔を、あのクラスメイトたちに見られたくない。

それだけは嫌だったから、私はお腹が痛いふりをしてゴリ先生に話をした。

ゴリ先生は大きな声で『それは休め!』と言ってくれて、私は体育館の端で見学することにした。
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