何度だってキミに、好きを届けたくて。
愛美さんはすたすたと歩き、ようやく立ち止まったかと思えば、そこは校門の前。

下校する生徒たちも少ないこの時間。


……愛美さん、部活はいいのかな?

私は文芸部に欠席するって伝えたからいいけど……。


でも、そんなことを聞ける空気じゃなかった。

校門の前で立ち止まったままの愛美さん。

しばらくして、私へと体を向けた。

愛美さんの表情はきつく、私を睨んでいた。

だけど、どこか迫力がなくて、私は首を傾げた。



「なんで、全校集会でステージの上に立ったのよ」

「え……?」

「作文は読める状態じゃなかったでしょっ!」



どういう、こと?

状況が読み込めない私は、口を半開きにしたまま固まってしまった。

愛美さんは握った両手を震わせている。



「私がやったの! 作文をびりびりにしたのは私なのっ」

「っ、! ……なん、で」

「悔しかったからに決まっているじゃない!」



悔しかった?


思い当たる節がない私は、戸惑うばかり。

肩にかけていた鞄を、両手でぎゅっと握る。
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