何度だってキミに、好きを届けたくて。
「市川さんって、愛美さんのお兄さん!?」

「あはは。そうだよ」



そう、だったんだ……。


なんか、びっくりだ。

でも、兄妹揃って美男美女。

納得いく気もする。



「それより、」



市川さんは愛美さんの手を離し愛美さんに鋭い視線を向けた市川さん。

愛美さんが肩をビクッと跳ねさせたことが分かる。



「乃亜ちゃんを叩こうとするなんて……。愛美、謝れ」

「なんでお兄ちゃんにそんなこと言われなきゃいけないのっ!?」

「人を傷つけるのは悪いことだ。悪いことしたなら謝るべきだろ」

「お兄ちゃんも、春佳もっ。あんたのことばっかり!」



そう言って、愛美さんは私を睨みつけた。

そんな愛美さんを叱る市川さん。


でも。

私は愛美さんの気持ちを守りたいと思った。

きっと、愛美さんもすごく辛いんだよね。


愛美さん、私の作文を破ったって言っていた。

春佳くんに振られたとも言っていた。


きっと、作文を破ったのは、誰かに助けて欲しかったのかもしれない。

告白して振られたら、ショックだよね。

苦しいよね。

泣きたいよね。


……誰かのせいに、したいよね。

だから、私の作文を破ったんだと思う。


愛美さんは、きっと私のことが嫌いなのかもしれない。

愛美さんの気持ちがスッキリするなら、作文なんて破かれても私は平気。


だけど。
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