何度だってキミに、好きを届けたくて。
「愛美さん。謝って」

「は? 誰があんたに、謝るかっ」

「違う。私に謝るんじゃじゃないよ。……愛美さんのお兄さんに」

「え……?」



愛美さんの瞳が揺らいだ。

私に向けていた目が、市川さんに向けられる。

市川さんは戸惑ったように私を見る。



「愛美さんの手も痛かったと思うけど。それを掴んだ、市川さんの手も痛かったと思うよ」

「……っ、」

「その手、今も痛いでしょ?」



そう言って私は愛美さんの手をそっと握った。

びっくりした顔を向ける愛美さんに、私は微笑みかける。



「愛美さんの心も痛いんじゃないの? だから、もう自分で自分のことを傷つけないで?」



人を傷つけると、絶対に自分の心も痛むから。

それは、さっきクラスメイトが教えてくれたこと。

愛美さんが私を傷つけようとしたとか、結果的に市川さんが痛い思いしたとか、もう関係ない。

みんな、形は違くても傷ついているんだから……。

これ以上、傷つけるのはやめよう。


愛美さんの瞳から大きな涙がこぼれた。
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