何度だってキミに、好きを届けたくて。
「ごめん、なさい……。伊織さんも、お兄ちゃんも、傷つけてごめんなさい……」

「私は大丈夫だから」

「ごめ、んなさいっ」



泣きじゃくる愛美さんは、なんだかかわいく見えた。

これがきっと愛美さん本来の姿なんだろう。

取り繕うことのない、ありのままの姿。

そんな愛美さんが、かわいく見える。



「春佳が伊織さんのこと、特別に想う気持ちも分かった気がする……」

「え?」

「な、んでもない。……春佳のところへ行くなら、行って」



愛美さんが私の手を振り払う。

その手でこぼれる涙をこする。

愛美さんの頭を撫でる市川さん。



「お兄ちゃんも。……早くバイト、行かなきゃいけないんでしょ」

「そうだ、忘れてたっ。行ってくるな」



そう言って市川さんは、ぽんぽんと愛美さんの頭を撫で、走っていった。



「あんたも。春佳のところに早く行きなよ」

「うんっ! 行ってくる! 愛美さん、ありがとう!」



私は愛美さんに手を振って、学校を飛び出した。


近くのバス停に向かう。

ちょうど来たバスは、春佳くんのいる病院の前を通る。

私はバスに乗り、病院に向かった。


バスの窓から見えた夕日は笑っていた。

明るくて、温かくて、柔らかい光。


待っていてね、春佳くん……。
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