何度だってキミに、好きを届けたくて。
「それにしても、乃亜を振るなんて伊吹くんあり得ないんだけど! 私だったら、乃亜と絶対に付き合うねっ」

「そう言ってくれる莉緒ちゃんの言葉に救われるよ」

「もうっ! 乃亜、いい子ーっ」



莉緒ちゃんは私の頭を撫でてから、そっと離れた。

莉緒ちゃんの表情にも、私の表情にも笑顔が戻りつつある。


……心配してくれてありがとう。

私たちが微笑み合っていると、登校してきたクラスメイトたちが教室に入ってくる。

賑やかになっていく教室。

莉緒ちゃんは私の頭をもう一度撫でてから、自分の鞄を持って廊下側の自分の席へ戻っていった。

その後姿に心の中で『ありがとう』と呟いてから、私は引き出しから本を取り出した。


本の世界に集中する。

本の世界は自由だ。

引き込まれるようなお話に心が少しだけ浮き上がる。

だけど、その反面『春佳くんに、この本をオススメしたいな』なんて感情も生まれてしまう。
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